危険物取扱者乙4の試験勉強、順調に進んでいますか?現役講師の私が、多くの受験生がつまずきがちな「アルコール類の覚え方」について、最短でマスターできる方法を解説します。
「性質・消火」の科目では、各危険物の特性を正確に覚えているかが合否を分けます。特にアルコール類は頻出テーマでありながら、他の石油類との違いが曖昧になりやすいポイントです。しかし、これからお伝えする「定義の分解」「ゴロ合わせ」「比較暗記」の3ステップで、あなたの知識は盤石になります。
そもそも乙4で覚えるべき「アルコール類」とは?
まず、試験で問われる「アルコール類」の定義を正確に理解しましょう。消防法では、第4類危険物の中の「アルコール類」を以下のように定めています。
1分子を構成する炭素の原子の数が1個から3個までの飽和一価アルコール(変性アルコールを含む)
この文章を3つのパーツに分解するのが、暗記への近道です。
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炭素の数が1個から3個まで: これが最も重要です。具体的には以下の3つだけを覚えればOKです。
- 炭素数1: メチルアルコール
- 炭素数2: エチルアルコール
- 炭素数3: プロピルアルコール
- 具体例: 試験では「ブチルアルコール(炭素数4)」が選択肢に混ざり、「アルコール類に該当しないものを選べ」という形でよく出題されます。
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飽和: 炭素と炭素の結びつきが、すべて一本の線(単結合)でできている状態を指します。二重結合などを含む「不飽和アルコール」は対象外です。
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一価: 分子内に、性質を決める重要なパーツであるヒドロキシ基(-OH)が1つだけ含まれるものを指します。
- 注意点: エチレングリコール(二価)やグリセリン(三価)は、名前に「アルコール」と似た響きがありますが、-OHが複数ある「多価アルコール」なので、消防法上のアルコール類には該当しません。これも頻出のひっかけポイントです。
最速暗記!「メタ・エタ・プロ」のゴロ合わせ術
定義に出てきた3つのアルコールは、名称と炭素数をセットで覚える必要があります。ここで役立つのが、シンプルなゴロ合わせです。
- C1: メチルアルコール → 「メ」タボの1丁目
- C2: エチルアルコール → 「エース」は背番号2
- C3: プロピルアルコール → 「プロ」レスラー3人組
この「メタ・エタ・プロ」という順番を口ずさんでみてください。自然と炭素数が1, 2, 3と頭に入ってくるはずです。
ちなみに、「エタノール」と「エチルアルコール」は同じものを指します。エチルアルコールとエタノールのは慣用名、エタノールが国際的な化学名(IUPAC名)という違いですが、乙4試験では同一物質として扱って問題ありません。
性質と数値をセットで覚える!比較表で一網打尽
個々の性質をバラバラに覚えるのは非効率です。特に出題されやすいメチルアルコールとエチルアルコールの性質は、下の表のように比較しながら覚えるのが効果的です。
| 性質項目 | メチルアルコール (メタノール) | エチルアルコール (エタノール) | 覚え方のポイント・共通点 |
|---|---|---|---|
| 化学式 | CH₃OH | C₂H₅OH | Cの数が1個か2個かで見分ける |
| 引火点 | 11℃ | 13℃ | どちらも常温より低く、極めて燃えやすい |
| 沸点 | 65℃ | 78℃ | 分子が重いエチルアルコールの方が沸点が高い |
| 蒸気比重 | 1.1 | 1.6 | どちらも空気(約1)より重く、低所に滞留する |
| 水溶性 | よく溶ける | よく溶ける | 水系消火剤が使える根拠になる最重要特性 |
| 毒性 | 劇物(失明の危険) | 飲用可(酒類の主成分) | 「メチルは目(め)に悪い」と覚える! |
この表から、アルコール性質の共通点が見えてきます。
- 無色透明の液体で、特有の匂いがある。
- 水に非常によく溶ける(水溶性)。
- 蒸気は空気より重いため、漏洩すると低い場所に溜まる。
- 引火点が常温より低いため、常に火気厳禁。
これらの共通点と、毒性の違い(メチルは劇物)を把握しておけば、性質問題のほとんどに対応できます。
指定数量と消火方法|試験で問われる最重要ポイント
最後に、試験で数字が直接問われる「指定数量」と、実務でも重要な「消火方法」を完璧にしましょう。
指定数量と危険等級
アルコール類の指定数量と危険等級は、セットで覚えるのが鉄則です。
- 指定数量: 400L
- ゴロ合わせ: 「アルコールで酔う(よう=40)、もう一杯」→ 400リットル
- 危険等級: Ⅱ(2)
- ゴロ合わせ: 「アルコールと第一石油類は、仲良く二(に)等級」
第一石油類(非水溶性200L / 水溶性400L)と指定数量や危険等級が近いので、混同しないようにゴロ合わせで区別してください。
消火方法
アルコール火災の消火で最も重要なキーワードは「水溶性」です。
- 最も適している消火剤: 耐アルコール泡消火剤
- 水に溶ける性質があるため、通常の泡消火剤では泡がすぐに壊されてしまいます。そのため、アルコールに対応した特殊な泡が必要です。
- 有効な消火方法:
- 大量の水による冷却・希釈消火
- 二酸化炭素、ハロゲン化物、粉末(リン酸塩類など)による窒息消火
- 不適当な消火方法:
- 棒状の水や棒状の強化液(液面をかき乱し、火災を拡大させる危険があるため)
試験では「アルコール火災に適さない消火方法はどれか」という形式で、選択肢に「通常の泡消火剤」や「棒状の強化液」が入っていることが多いです。
よくあるミス
- ブチルアルコールをアルコール類だと思ってしまう: 炭素数が4なので、定義から外れます。これは第二石油類です。
- メチルアルコールの毒性を忘れる: 「メチルは目に悪い」と覚え、飲用できるエチルアルコールと明確に区別してください。
- 普通の泡消火剤が使えると勘違いする: 「水溶性液体には耐アルコール泡」と必ずセットで覚えましょう。
- 指定数量を200Lと間違える: 第一石油類(非水溶性)の200Lと混同しがちです。「酔う(40)」のゴロで400Lと確定させましょう。
- グリセリンもアルコール類に含めてしまう: -OHが3つある三価アルコールのため、乙4のアルコール類には該当しません。



