蒸気圧とは
「蒸気圧」という言葉、少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は日常生活でもよく経験する現象と深く関わっています。蒸気圧とは、液体または固体が蒸発し、気体になった蒸気が示す圧力のことです。
イメージしやすい例として、お風呂を沸かすことを考えてみましょう。お風呂の湯気は、水が蒸発してできた水蒸気です。この水蒸気が、空間に広がる際に壁や天井にぶつかる力、それが蒸気圧です。
重要なポイントは、温度が高くなるほど蒸気圧は上昇するということです。お風呂の温度が高いほど湯気がたくさん出るように、液体の温度が高いほど蒸発する量が増え、それだけ蒸気圧も高くなります。
そして、ある温度において、液体の蒸気圧が外部から加わる圧力(外圧、通常は大気圧)と等しくなったとき、その液体は沸騰します。つまり、沸騰とは、液体の蒸気圧が大気圧に打ち勝って、液体全体から気泡が発生する現象なのです。
身近な例として、標高の高い場所では気圧が低くなるため、平地に比べて沸点が低くなります。これは、低い蒸気圧でも外圧に達してしまうためです。
試験のポイント
乙4試験において、蒸気圧は重要な頻出テーマの一つです。特に以下の点を意識して学習を進めましょう。
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定義の理解: 蒸気圧の正確な定義を理解していることが基本です。「蒸気圧とは、液体または固体から蒸発した蒸気が示す圧力である」という文言をしっかりと覚えておきましょう。
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温度と蒸気圧の関係: 温度が上昇すると蒸気圧も上昇するという関係は、必ず理解しておきましょう。この関係を逆にして問う問題や、「温度が下がると蒸気圧は上昇する」といった誤った選択肢を選ぶ問題が出題される可能性があります。
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沸騰との関係: 沸騰は、蒸気圧が外圧と等しくなる現象であることを理解しましょう。標高の高い場所での沸点変化に関する問題もよく出題されます。
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危険物との関連: 危険物の蒸気圧が高いほど、蒸発しやすく、可燃性の蒸気が発生しやすいことを理解しましょう。引火の危険性が高まるため、蒸気圧の高い危険物の取り扱いには特に注意が必要です。
ひっかけ問題の注意点:
- 「蒸気圧は、液体の種類に関わらず一定である」といった誤った選択肢に注意しましょう。液体の種類によって蒸気圧は異なり、一般的に分子間力の弱い液体ほど蒸気圧が高くなります。
- 「蒸気圧は、液体の量に比例する」といった誤った選択肢にも注意が必要です。蒸気圧は、液体の量ではなく、温度に依存します。
- 問題文をよく読み、問われているのが「蒸気圧」なのか「沸点」なのかを区別しましょう。
具体例・数値データ
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水: 水の蒸気圧は、温度が上昇するにつれて急激に上昇します。例えば、20℃での蒸気圧は約2.3kPaですが、100℃では101.3kPa(大気圧)となり、沸騰します。
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エタノール: エタノールは水よりも蒸気圧が高く、常温でも容易に蒸発します。これは、エタノールの分子間力が水よりも弱いためです。
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ベンゼン: ベンゼンは非常に蒸気圧が高く、引火しやすい危険物です。取り扱いには十分な注意が必要です。
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ジエチルエーテル: ジエチルエーテルも蒸気圧が非常に高く、非常に引火しやすい危険物です。静電気による引火の危険性も高いため、特に注意が必要です。
| 危険物 | 蒸気圧 (20℃) | 引火点 |
|---|---|---|
| 水 | 2.3 kPa | - |
| エタノール | 5.9 kPa | 13℃ |
| ベンゼン | 10.0 kPa | -11℃ |
| ジエチルエーテル | 58.6 kPa | -45℃ |
上記の表から、蒸気圧が高いほど引火点が低い傾向にあることがわかります。これは、蒸気圧が高いほど蒸発しやすく、空気中に可燃性の蒸気が拡散しやすいためです。
まとめ
- 蒸気圧とは、液体または固体から蒸発した蒸気が示す圧力のこと。
- 温度が高くなるほど蒸気圧は上昇する。
- 沸騰とは、液体の蒸気圧が外圧と等しくなる現象。
- 蒸気圧の高い危険物は、蒸発しやすく引火の危険性が高い。
- 液体の種類によって蒸気圧は異なる。
- 蒸気圧は液体の量には依存しない。
これらのポイントをしっかりと理解し、過去問を繰り返し解くことで、乙4試験における蒸気圧に関する問題を確実に得点できるようになりましょう。
