燃焼範囲とは
燃焼範囲は、危険物取扱者乙種4類(乙4)の試験で必ずと言っていいほど問われる重要な概念です。 一言でいうと、「燃える気体(可燃性ガスや蒸気)が、空気と混ざって燃え続けることができる濃度の範囲」 のことです。
たとえば、ガソリンや灯油などの液体は、そのままでは燃えません。しかし、これらの液体が蒸発して空気と混ざり合うことで、可燃性の混合気体となります。この混合気体の濃度が適切であれば、点火源(火花や高温物体など)によって着火し、燃焼が継続します。
燃焼範囲には、下限値(燃焼下限界) と 上限値(燃焼上限界) が存在します。
- 燃焼下限界: 可燃性ガスや蒸気の濃度が 薄すぎる と、燃焼を維持するためのエネルギーが不足し、着火してもすぐに消えてしまいます。この燃焼を維持できる最低の濃度が燃焼下限界です。
- 燃焼上限界: 可燃性ガスや蒸気の濃度が 濃すぎる と、酸素が不足して燃焼が不完全となり、やはり燃焼が継続しません。この燃焼を維持できる最高の濃度が燃焼上限界です。
つまり、可燃性ガスや蒸気の濃度が、燃焼下限界から燃焼上限界の 間 にある場合にのみ、燃焼が起こるのです。 この範囲を 燃焼範囲 と呼びます。
燃焼範囲は物質の種類によって大きく異なり、燃焼範囲が広い物質ほど、少しの漏洩でも燃焼・爆発の危険性が高くなります。
試験のポイント
乙4試験では、燃焼範囲に関する以下のポイントがよく問われます。
- 定義の理解: 燃焼範囲、燃焼下限界、燃焼上限界の定義を正確に理解しているか。
- 燃焼範囲と危険性: 燃焼範囲の広さと危険性の関係を理解しているか。燃焼範囲が広いほど危険性が高い。
- 数値データの暗記: 代表的な危険物(ガソリン、灯油、アセトンなど)の燃焼範囲を覚えているか。
- 燃焼範囲に影響を与える要因: 温度、圧力などの条件が燃焼範囲に与える影響を理解しているか。一般的に、温度が上昇すると燃焼範囲は広がり、圧力が上昇すると燃焼範囲も広がります。
- 計算問題: 混合気の燃焼範囲を求める計算問題。
ひっかけ問題の注意点:
- 「燃焼範囲が 狭い ほど危険である」といった誤った記述に注意。燃焼範囲が 広い ほど危険です。
- 「燃焼下限界を超えると燃焼しない」は正しいですが、「燃焼上限界を超えると 爆発 する」は誤りです。燃焼上限界を超えると酸素不足で燃焼が継続しません。爆発には、燃焼速度が非常に速い、特殊な燃焼現象を指します。
- 燃焼範囲は、体積百分率(vol%)で表されることが一般的です。単位に注意しましょう。
具体例・数値データ
以下に、代表的な危険物の燃焼範囲の例を示します。これらの数値は暗記しておくと、試験で役立ちます。
| 危険物 | 燃焼下限界 (vol%) | 燃焼上限界 (vol%) |
|---|---|---|
| ガソリン | 1.4 | 7.6 |
| 灯油 | 0.5 | 5.0 |
| アセトン | 2.5 | 13.0 |
| ベンゼン | 1.2 | 8.0 |
| エタノール | 3.3 | 19.0 |
| メタン | 5.0 | 15.0 |
具体例:
- ガソリンの場合、空気中のガソリン蒸気の濃度が1.4%未満だと、点火しても燃えません。7.6%を超えても、酸素不足で燃えません。1.4%~7.6%の間であれば、点火することで燃焼が継続します。
- アセトンは、燃焼範囲が2.5%~13.0%と比較的広いため、引火しやすい危険物と言えます。
まとめ
- 燃焼範囲とは、可燃性ガスや蒸気が空気と混合し、燃焼が継続する濃度の範囲。
- 燃焼範囲には、燃焼下限界と燃焼上限界がある。
- 燃焼範囲が広いほど危険性が高い。
- 温度が上昇すると燃焼範囲は広がる。
- 代表的な危険物の燃焼範囲の数値を暗記しておく。
- ひっかけ問題に注意し、定義や危険性の関係を正しく理解する。
