危険物の運搬と移送の違い
危険物の「運搬」と「移送」は似ていますが、法令上明確に区別されています。
- 運搬: 危険物を車両や船舶などの輸送手段を用いて移動させることを指します。例えば、ガソリンスタンドへタンクローリーでガソリンを運ぶ行為が該当します。
- 移送: 危険物をある場所から別の場所へ移動させること全般を指します。運搬も含みますが、パイプラインによる輸送や、同一構内での移動なども含まれます。つまり、運搬は移送の一つの形態と考えると理解しやすいでしょう。
運搬容器の基準
危険物を安全に運搬するためには、容器が重要な役割を果たします。容器は以下の基準を満たす必要があります。
- 材質: 危険物の性質に適した材質であること。例えば、ガソリンなどの有機溶剤には、耐油性のある金属製または合成樹脂製の容器が用いられます。
- 強度: 運搬中の衝撃や振動に耐えられる強度を持つこと。落下試験などの性能試験が義務付けられている場合もあります。
- 密閉性: 危険物が漏洩しないように密閉できる構造であること。液体危険物の場合、気密性の高いパッキンなどが用いられます。
- 表示: 容器には、危険物の品名、危険等級、化学名、注意事項などを表示する必要があります。これは、取り扱い者が危険物の情報を容易に把握できるようにするためです。
運搬方法の基準
危険物の運搬方法は、その種類や量によって細かく規定されています。主な基準は以下の通りです。
- 積載方法: 危険物を安定した状態で積載し、荷崩れを防ぐ必要があります。転倒や落下を防止するための措置(ロープやベルトでの固定など)が必要です。
- 混載禁止: 異なる種類の危険物や、危険物と他の物品を混載することは原則として禁止されています。ただし、法令で認められた組み合わせであれば、混載が可能です。
- 消火設備の準備: 運搬車両には、適切な消火設備を備え付ける必要があります。消火器の種類や能力単位は、運搬する危険物の種類や量によって異なります。
- 標識の掲示: 運搬車両には、危険物を運搬していることを示す標識を掲示する必要があります。一般的には、「危」マークや危険物の品名などが表示されます。
- 休憩・停車場所: 人口密集地や火気厳禁場所での休憩や停車は避ける必要があります。やむを得ず停車する場合は、安全な場所を選び、見張りを立てるなどの措置を講じる必要があります。
移送の基準
移送の基準は運搬の基準に加えて、より広範な安全対策が求められます。特に、大量の危険物を移送する場合には、以下の点に注意が必要です。
- 移送計画の作成: 移送ルート、時間、方法などを詳細に計画し、関係機関との連携を図る必要があります。
- 監視体制の強化: 移送中は、監視員を配置し、異常がないか監視する必要があります。異常を発見した場合は、直ちに適切な措置を講じる必要があります。
- 緊急時の連絡体制: 緊急事態が発生した場合に備え、関係機関との連絡体制を整備しておく必要があります。連絡先、連絡方法などを明確にしておくことが重要です。
緊急時の措置
万が一、危険物の漏洩や火災が発生した場合は、以下の措置を迅速に行う必要があります。
- 応急措置: 漏洩箇所を塞いだり、消火器で初期消火を行うなど、被害の拡大を最小限に食い止めるための応急措置を行います。
- 関係機関への通報: 消防署や警察署などの関係機関へ速やかに通報し、指示を仰ぎます。
- 避難誘導: 周囲の人々を安全な場所へ避難誘導します。
- 二次災害の防止: 漏洩した危険物が下水溝へ流れ込まないように土嚢で堰き止めたり、火災が拡大しないように周囲の可燃物を除去するなど、二次災害の防止に努めます。
この措置は、安全を確保する上で非常に重要です。