C-2-1 特殊引火物の性状と取扱注意
特殊引火物とは?
危険物の中でも特に引火しやすい物質を「特殊引火物」といいます。消防法では、1気圧において引火点が-20℃以下で、沸点が40℃以下のものを特殊引火物と定義しています。
これは、非常に低い温度でも引火しやすく、わずかな火気や静電気でも爆発的な燃焼を起こす可能性があるため、取り扱いには細心の注意が必要です。
代表的な特殊引火物
特殊引火物には、以下のようなものがあります。
- ジエチルエーテル: 麻酔薬や溶媒として使用されます。揮発性が非常に高く、空気中で爆発性の過酸化物を生成することがあります。
- アセトアルデヒド: 樹脂や合成ゴムの原料として使用されます。刺激臭があり、重合しやすい性質があります。
- 二硫化炭素: 溶剤や殺虫剤の原料として使用されます。非常に引火しやすく、有毒です。
- 酸化プロピレン: ポリウレタンフォームや不飽和ポリエステル樹脂の原料として使用されます。引火性が高く、爆発性もあります。
これらの物質は、実験や製造現場などで広く使用されていますが、その危険性を十分に理解し、適切な取り扱いを行う必要があります。
特殊引火物の危険性
特殊引火物が特に危険な理由は、以下の3点です。
- 極めて低い引火点: 常温付近でも容易に引火するため、火災のリスクが非常に高いです。
- 高い揮発性: 蒸気圧が高く、可燃性の蒸気が発生しやすいです。この蒸気が空気と混ざり合うことで爆発性の混合気を形成しやすくなります。
- 静電気による着火の可能性: 静電気の放電エネルギーでも着火する可能性があるため、静電気対策が不可欠です。
特殊引火物の取扱注意
特殊引火物を取り扱う際には、以下の点に注意が必要です。
- 火気厳禁: 周囲に火気を持ち込まないことはもちろん、静電気の発生を抑えるために、アース付きの容器を使用したり、作業着を綿製にするなどの対策が必要です。
- 換気の徹底: 可燃性の蒸気が滞留しないように、換気を十分に行う必要があります。局所排気装置などを活用することも有効です。
- 密閉容器での保管: 蒸気が漏れないように、密閉できる容器に保管します。容器は冷暗所に置き、直射日光を避けてください。
- 漏洩対策: 漏洩が発生した場合に備えて、適切な吸収剤や中和剤を用意しておきましょう。漏洩時は速やかに換気を行い、火気の使用を禁止します。
- 保護具の着用: 作業時には、保護メガネ、保護手袋、防毒マスクなどの保護具を着用し、皮膚への接触や蒸気の吸入を防ぎましょう。
- 指定数量の確認: 特殊引火物は少量でも危険性が高いため、指定数量を確認し、指定数量以上の貯蔵・取扱いは消防法に基づいた許可が必要です。指定数量については、関連資料を参照してください。
これらの注意事項を守り、安全に特殊引火物を取り扱うように心がけましょう。
静電気対策の重要性
特殊引火物は、特に静電気による着火が起こりやすい物質です。静電気は、物質同士が摩擦したり、剥離したりする際に発生します。特に乾燥した環境では、静電気が発生しやすくなります。
静電気対策としては、以下の方法が有効です。
- アース (接地): 容器や設備をアースすることで、静電気を安全に逃がします。
- 加湿: 空気中の湿度を高く保つことで、静電気の発生を抑制します。
- 帯電防止剤の使用: 作業着や床などに帯電防止剤を使用することで、静電気の帯電を防ぎます。
- 導電性材料の使用: 作業台や床などに導電性材料を使用することで、静電気を逃がしやすくします。
このページの要点
- 特殊引火物は、引火点-20℃以下、沸点40℃以下の物質である。
- ジエチルエーテル、アセトアルデヒド、二硫化炭素、酸化プロピレンなどが代表例。
- 極めて低い引火点、高い揮発性、静電気による着火の可能性が危険性。
- 火気厳禁、換気の徹底、密閉容器での保管、漏洩対策、保護具の着用が重要。
- 静電気対策として、アース、加湿、帯電防止剤の使用が有効。